1992年の
ログジャム・ニッチ・ノットによる実験音楽史の授業、という歴史そのものをでっちあげることによって、現実(陰謀論者グループの属している)で一般的に語られている音楽史が実は一人の男によってでっちあげられたものであった、という陰謀を世界各地に散らばった複数人で紡いでいる。複数人が主にインターネットを介したヴァーチャルな結びつきによって活動をしているという性格上この集団の歴史の紡ぎ方は断片的なものになっている(ログジャム・ニッチ・ノットについての証言を集めたものなど)。抽象的な理念を除いてでっちあげられるこの集団の目的は一見上記の陰謀を広めることにあるようにみえるが、実際のところそうではない。この集団の真の目的は、あえてできる限り胡散臭く歴史を紡ぐことで、反動的に集団に属さない人々に一般的に語られている音楽史を強く信じこませようとするというところにある。
この会が発足した経緯については諸説あるが、ここでは最も有力な説として現在唱えられているものについて取り上げる。2015年5月19日の同時刻にインターネット上における複数の匿名掲示板のサーバが何者かによりハッキングされ、そこから数分間の間書き込まれた全ての投稿が Logjam、Niche、Not という単語とそれぞれに続くいくつかの謎めいた文字列に書き換えられるという事件が起こった(*1)。この事件についてはすぐさまインターネット上で様々な憶測が飛び交うも、どれも信憑性に乏しいものばかりであった。しかしそれから一年後の 2016 年 7 月、突如としてインターネット上に現れた「ска」なる人物が、この文字列がある一定の規則に則って作られたものであり、それらは毎回異なる方法で読み解くことができるということと、掲示板に書き込めなくなった時間がちょうど4分33秒であったこと、そして1992年のニュースクール大学の教員名簿にLogjam Niche Not という教員名を見つけたことから、(つづく)